水は流れている、つながっている2
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川の下流で洪水を起こしたりします。昔は建物でも燃料でも農業の肥料でも、なんでも木を使ったので日本中の山がはげ山になり、表面侵食が年に何万カ所も起きました。今は、建材は外材やコンクリートになり、燃料は地下資源を使い、肥料は工場生産や輸入に頼るようになって、日本の山は四〇〇年ぶりに緑で覆われ、表層崩壊も激減しました。山に水が溜まるのは森林土壌のお陰です。でも森林土壌を作る森林は、その成長のために晴れると「光合成」を行います。そこで水を「蒸散」するので、山に降る雨の約二五㌫を根から吸い上げてしまいます。加えて葉や枝、幹の表面からの「蒸発」が約二五㌫あるので、C層に届く水は約半分になってしまうそうです。そのため日照りが続くと、沢が枯れ、川に水がなくなってしまうこともあります。 また逆に、大雨や長雨で森林土壌への透水が限界に達すると、地盤がゆるみ、山崩れを起こしたりもします。でも山に木があると、森林土壌を作り、山に降る雨をゆっくり流して川にきれいな水を送り出してくれます。さらに生き物を育み、静かで落ち着ける環境を作ってくれます。そしてなにより光合成で、CO2を削減してくれます。こうしてみてくると、山に木があるといろいろな良いことがありますが、一つひとつは完全ではないし、逆効果になることもあります。でもそれは自然そのものだからしかたがない。自然は人間社会の都合に合わせてくれるわけではない、と気づかされました。■自然のダムの欠点19『森と水のサイエンス』P44図/社団法人日本林業技術協会企画を参考に作図

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