ダムで水を貯め、水道の水を造り、洪水を調節するんんうっいん午後一時からは、荒川支流の中津川にある「滝沢ダム」で話を聞きました。埼玉県内には六つのダムがあります。一番古い昭和三六年完成の二瀬ダムは、戦後の食料増産のために新たに開か墾こする農地に送る水を貯めています(ちなみに、古くからある農地は、前頁で紹介した自然が作る水を使っています)。残りの五ダムは、日本の高度経済成長期以降急ぎ必要になった水道の水を貯めています。日本は戦後復ふ興こを果たし、一九六〇年代になると高度経済成長期に入り、人口が急増し、生活スタイルも水を沢山使うようになりました。それで、それまで使っていた地下水を汲み上げたら地じ盤ばが沈ち下かし、川の水に頼ろうとしたら、川の水の多くは農業用に使っているので足りない。それで急ぎダムを造って水を貯め、不足分を川に流すことにしました。このような事情でできた埼玉県内のダムは、古い順から、昭和四三年完成の下久保ダム、同六〇年の有間ダム、平成一〇年の浦山ダム、平成一四年の合角ダム、平成二二年の滝沢ダムです。山の森林土壌に溜まっている水は、森林一㌶当たり約二五〇〇㌔㍑と推測され、県内の山の森林面積は約一二万㌶なので、約三億㌔㍑の水が保水されていると考えられるそうです。一方、県内にある六つのダムの総貯水容量の合計が二億九五七五㌔㍑だそうです。埼玉の山に溜まる水と県内のダム貯水池の容量がほぼ同じ。それをどう考えるか簡単には思いつきませんが、ただ埼玉県の水道水は、県内のダムだけではなく、群馬県にある奈良俣ダムや八ッ場ダム、草木ダム、荒川中流部にある荒川第一調節池などにも頼っているので、埼玉の山の水の倍くらいは使っているかもしれません。人口が増えても水道の蛇口を捻ればいつでも水が出るし、トイレもウォシュレットが当たり前になりました。水を使い過ぎかもしれないと思いましたが、コロナが流行った時、手洗いや体を清潔にする水がちゃんとあって良かったし、途上国のように子どもたちも毎日水を運ぶ作業がないので、いろいろやりたいことができる、とも思いました。そう考えると、水が蛇口を捻ればいつもあることは、すごいことかもしれないと思いました。■戦後と高度成長期に計画された■山の水とダムの水20荒川支流中津川の奥にある「滝沢ダム」
元のページ ../index.html#22