水は流れている、つながっている2
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ダムは水道の水を造る目的もありますが、荒川流域では戦後すぐのカスリーン台風による大災害をきっかけに、下流の水害を減らすため上流で洪水を調節するダムが必要になりました。水道の水を造ったり、川の流量を調節したり、いくつかの目的を一つのダムで対応するダムを「多目的ダム」言います。ダム建設にはお金も時間もかかるので、多目的ダムにすると、その分ダムも貯水池も大きくなりますが、単独で一つずつ造るよりずっと経済的なのだそうです。滝沢ダムも多目的ダムなので、埼玉県と東京都の水道用水と、河川維持用水(雨が長く降らないと、川が干上がり生き物が棲めなくなるので、川のための水も流している)を貯め、その水の放流を利用して発電し、台風等で大雨が降る時期(七月一日~九月三〇日)は貯水池の水位を下げ、上流からの洪水を引き受けて、下流の流量を調節します。ダムは、自然が作る水では足りない分を社会のニーズに合わせて補ってくれています。自然と違い人間の都合で造るので、目的はきちんと果たしますが、といってダムは巨大な構造物なので、造る場所に限りがあり、建設費も高いので多くは造れません。造ったら造ったで、完成後ずっとダムの維持管理を続けなければなりません。また、ダム上流からの土砂が予定した  池を空けておくなどの工夫をしています。以上に溜まると、貯水池で貯められる水が少なくなるといった問題もあります。そういう問題があっても水がなければ僕たちの暮らしは止まってしまいます。どうしても必要な施設なので、一つのダムで複数の目的をかなえるようにして、夏は台風などの大水を調節するため貯水■複数の目的をはたす「多目的ダム」■人工のダムの欠点21令和元年10月9日台風に備えて水位を下げた滝沢ダム貯水池(9時頃の水位EL.537.94m)令和元年10月13日台風19号の洪水を受け入れた滝沢ダム貯水池(11時頃の水位EL.555.84m)大きな貯水池の壁になるダム(堤体)はさすがに巨大コンクリートダムの中に降りて、滝沢ダム紹介のパネル見学。中は13度、寒いくらいだった。

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